狛犬の鳴き声

近江八幡のまちづくりに取り組む中で、考えたこと、学んだこと、もやもやを記す内訟録。

クリエイティブな思考のヒントが詰まった手引き書「システム×デザイン思考で世界を変える」

なんとなくの感覚でこなしてきたワークショップを変えるきっかけ

ブレスト、ディスカッション、ワークショップをすることが仕事がら多い。自分がなんとなく気をつけてる感覚を言語化され、手法としてまとめて説明されているので、手引きとしてなんどもみかえすだろう一冊。

 

システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」

システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」

 

 

 

システム思考とデザイン思考

よく、物事を考えるときに、感覚的か論理的か、右脳と左脳、文系と理系、東洋思想と西洋思想などなどの議論になることがある。これらの曖昧な二項対立を2つの思考としてまとめたのがシステム思考とデザイン思考になっている。

システム×デザイン思考のこのような考え方は、東洋の人たちは古来から自然に身につけていたと言われています。たとえば、日本の古くからの思考をあげると、正月から1年たつとまた正月に戻るという時間の循環思考近江商人の「三方よし」の格言でよく知られる協創と共栄の思想社会を人と人との間の「人間(じんかん)」ととらえる「やわらかな」システム思考などです。システム思考のデザイン思考というと西洋発のものと思われがちですが、近代の行き過ぎた合理主義へのいわば「反省」として、西洋の学者たちが東洋の思想を体系化したものという見方もできます。日本人はシステム×デザイン思考のタネを実は体内に自然に持っているのではないでしょうか。

 

決してどちらがいいという議論でも、デザイン礼賛の話でもない。二つの思考を身につけ、使いこなし楽しめるようになることが必要なのである。

まさに、建物の設計や新しいプロジェクトを企画するときなど、クリエイティブな作業をするときに必要な2つの視点である。

 

これまで無意識なまま、行き詰まると手が止まったまま、なかなか進められずに時間が過ぎるということもよくあった。ブレストでも、意見が拡散しなかったり、相手の意見や自分の考えをうまく引き出すことができず悶々とすることも経験してきた。そもそも、対話の技術を体系立ててきちんと学んでいないことも課題だと感じている。

本書では、クリエイティブなプロジェクトの事例もあり、読んでいて各々の事例のインサイトを共有でき、気持ちよく読み終えてしまった。

 

今後、地方創生の議論を進めていく上で、いかに一部の有識者だけの議論で満足しないかが必要である。エネルギーと情熱がなければ、あえて苦しい道を選ぶ必要もない。しかし、新しい可能性と世界に通用する手法は必ず多様性の中からうまれる。

これから何度も見返し、実践していきたい。